【お役立ちコラム】Q.近年増加しているゲリラ豪雨や水害に対して、工場や倉庫の建設時にどのような対策が可能ですか?
工場・倉庫本舗
Q.近年増加しているゲリラ豪雨や水害に対して、工場や倉庫の建設時にどのような対策が可能ですか?

A.ゲリラ豪雨による浸水や冠水リスクを低減するため、工場倉庫本舗では、敷地の嵩上げ(かさあげ)設計、止水板・排水ポンプの設置、雨水貯留施設・調整池の計画など、立地環境に応じた総合的な水害対策をご提案しています。大切な商品や設備、資産を守るための施策を設計段階から組み込みます。
- 敷地の嵩上げ(かさあげ)設計とグラウンドレベルの最適化
近年の気候変動に伴い、短時間で局地的に激しい雨が降るゲリラ豪雨や線状降水帯による長時間の集中豪雨が頻発しています。奈良県内においても、河川の溢水(いっすい)や内水氾濫(排水能力を超えた雨水が道路や敷地に溢れる現象)による浸水被害が懸念される地域は少なくありません。
工場や倉庫建設における最も根本的かつ効果的な水害対策は、設計段階で敷地全体および建物床面の高さを適切に設定すること(嵩上げ・グラウンドレベル最適化)です。
1)過去のハザードマップと想定浸水深の分析
既存のハザードマップで示された想定浸水深を確認することは不可欠ですが、近年の雨量は従来の想定を超えるケースが目立ちます。工場倉庫本舗では、周辺地形や雨水流出の傾向を多角的に分析し、余裕を持たせた設計地盤高(1F床面高)を設定します。
2)プラットフォーム構造の活用
物流倉庫や製造工場においては、トラックのバース部分に高床式プラットフォーム(高さ1.0m〜1.2m程度)を採用することが多くあります。この構造は荷役作業の効率化だけでなく、浸水リスクに対する強固な物理的バリアとしても機能します。
3)敷地内水勾配(こうばい)の最適設計
建物の高さを確保するだけでなく、敷地内に降った雨水が建物側へ流れ込まず、適切に排水設備へ誘導されるよう、敷地全体に適切な傾斜(勾配)を設けます。
- 浸水経路を物理的に遮断する止水板・防水扉・排水ポンプの設置
土地の制約や道路との取り合いにより、十分な嵩上げが困難な場合や、想定外の超大型台風・ゲリラ豪雨に備えるためには、侵入経路を物理的に遮断する設備(ソフト・ハードの複合対策)が有効です。
1)止水板・防水性シャッターの導入
開口部(搬入口、従業員出入口、搬入用シャッター)は、水害時に最も水が侵入しやすい弱点となります。
- 脱着式・起伏式止水板: 通常時は通行の妨げにならず、大雨警報発令時や夜間・休日に迅速に設置できる止水板を設計に組み込みます。
- 防水性能付き重量シャッター: 強風による破損を防ぐ耐風圧性能に加え、下部からの水侵入を最小限に抑える密閉性の高いシャッターを選定します。
2)排水ポンプ施設と非常用電源(BCP対応)の連動
敷地内に流れ込んだ雨水や、トレンチ(排水溝)に溜まった水を強制的に外部へ排出するための排水ポンプ施設を計画します。
- 自動交互運転ポンプの設置: 水位センサーと連動し、一定の水位に達した段階で自動稼働する排水システムを構築します。
- 非常用電源の確保: 豪雨に伴う停電が発生すると、通常の排水ポンプは停止してしまいます。水害対策用ポンプや重要設備には、非常用発電機や蓄電池からの電力供給ルートを確保し、停電時でも排水機能を維持する設計を行います。
- 雨水貯留施設・流出抑制計画と自治体基準のクリア
大規模な工場や倉庫を建設する際、広大な屋根面積や舗装面積によって雨水が地下に浸透しにくくなり、周辺地域へ一気に流出してしまうリスクが高まります。そのため、多くの自治体(奈良県および各市町村)では、開発許可申請時に「雨水流出抑制対策」の設置を義務付けています。
1)雨水調整池・貯留タンクの設置計画
開発区域の面積に応じた雨水調整池(オープン形式の調整池、または地下埋設型の雨水貯留施設)を建設します。これにより、ゲリラ豪雨時のピーク流量を一時的に溜め込み、河川や公共下水道への負荷を軽減させます。
2)透水性舗装と緑化ブロックの活用
駐車場や資材置場の一部に透水性アスファルトや緑化ブロックを採用することで、雨水の自然地下浸透を促進し、敷地表面の冠水リスクを和らげます。
3)屋内・屋外排水網の容量拡大
近年のゲリラ豪雨(1時間あたり80mm〜100mmを超えるような猛烈な雨)に対応するため、従来の基準よりも1〜2ランク上の排水管径・縦樋(たてどい)・雨とい構造を設計に反映します。屋根の雨水溢れ(あふれ)による屋内への漏水トラブルを未然に防ぎます。
- 精密機械・重要資産を防護するレイアウト(設備配置)計画
建物そのものの浸水対策に加え、建物内部における「設備の配置計画」を最適化することで、万が一の浸水時における事業被害を最小限に抑え、早期の事業復旧(BCP=事業継続計画)を可能にします。
1)電気設備(特高受変電設備・キュービクル)の嵩上げ・上層階設置
工場の心臓部である受変電設備や制御盤が水没すると、復旧までに数ヶ月を要し、巨額の損失が発生します。これら重要電気設備は、屋上や2階以上の高所、または1m以上の架台上に設置する計画とします。
2)高価な製造設備・在庫商品の保管位置見直し
浸水リスクの想定される1階床面近くには、水害に強い資材や架台を配置し、精密機械や基幹システム、高価値な完成品在庫は嵩上げされたエリアや上層階へ配置できるよう、動線とレイアウトを設計段階から練り上げます。
5.まとめ
近年猛威を振るうゲリラ豪雨や大雨災害から大切な工場・倉庫、そして事業資産を守るためには、建物を建てた後の応急処置ではなく、「土地の選定・設計の初期段階から水害リスクを織り込んだ建築計画」を立てることが最もコストパフォーマンスが高く、確実なBCP対策となります。
工場倉庫本舗では、奈良県特有の地形・地質・防災ハザードデータを熟知した専門スタッフが、行政との事前協議から敷地計画、構造設計、各種防災設備の導入までワンストップでサポートいたします。水害に強く、安心・安全に稼働し続けられる工場・倉庫の建設は、ぜひ当社にご相談ください。

